「私は消費税を納めなきゃいけないの?」(納税義務者)
「いつの分の消費税を納めるの?」(計算期間)
「納める消費税はどうやって計算するの?」(計算方法)

この質問は非常に多くいただきますが、とても重要なところです。しかし事業を始めたばかりの段階ではほとんどの方が間違った理解をされています。これは複雑ですのでやむを得ないと思います。
今回は消費税の納税義務者についてご説明します。

消費税を納める人

消費税を納める義務のある方を、納税義務者と言います。
事業を行う個人か法人が対象となります。消費税法では事業者といいます。このうちの消費税法で定められた基準を下回る方は納税義務が免除されます。免除される方(消費税を納める義務のない方)を免税事業者といいます。免税事業者以外の方が課税事業者となります。課税事業者の方が消費税を納めます。

納税義務があるかどうかの判定は、いくつかあります

原則:基準期間(従来の判定方法)

よく知られているところでは、個人事業主の場合は前々年(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかが基準になります。前々年は暦が基準になります。「売上が1,000万円を超えたら消費税」とよくいわれるのはこのことです。法人(会社)の場合は暦ではなく事業年度が基準になりますので前々事業年度(2期前)ということになります(実際には細かい規定がありますので単純に2期前ではない場合もあります)。この判定の対象となる期間(前々年や前々事業年度)を基準期間といいます。

特定期間(平成25年から)

次に、あまり知られていませんが、特定期間というのができました。平成23年6月の改正により平成25年1月から適用されました。これについては上記の2年前ではなく1年前(前年)の前半1月から6月の課税売上高を基準に判定します。個人の場合は1月から6月、法人の場合は事業年度開始から6ケ月間の課税売上高が1,000万円を超える場合には納税義務が発生します。なので2年前の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えれば課税事業者となり、消費税を納める義務が発生します。なお、特定期間については課税売上高のかわりに給与等の支払額を使用することもできます。

以上のことから、免税事業者は、規模が小さい事業者に配慮した制度ということになります。

資本金1,000万円で会社を作ると初年度から納税義務あり

しかし、課税売上高が少なくて売上規模が小さくても、消費税の課税事業者となる場合があります。そのうちのひとつが資本金1,000万円以上の法人(会社)です。この場合は基準期間や特定期間の課税売上高は関係なく、資本金で判断されます。
新しく会社を設立した場合、1期目と2期目は基準期間(前々事業年度)がありません。「会社を作ったら2年間は消費税を納めなくてもいい」とよくいわれるのはこのことです。2期目については基準期間はありませんが特定期間がありますのでこちらの注意が必要です。

しかしそれ以前の問題として、資本金1,000万円以上で会社を作った場合は、基準期間や特定期間に関係なく、消費税の納税義務は免除されませんので、初年度から消費税の課税事業者となります。

資本金1,000万円未満でも初年度から納税義務者となる場合も

だったら資本金900万円で会社を作ればいいのか、と思いがちですが、さらに難しい話で「特定新規設立法人」というのがあります。これもわりと新しい制度です。平成26年4月以降に設立した法人の中で、大雑把にいうと「大きな会社に支配されている会社」が対象になり、条件に該当すると課税事業者になり、納税義務は免除されません。

自分から課税事業者になることもできます

事業を始めたばかりの個人や、資本金1,000万円未満で新規に設立した法人、売上の少ない個人、売上が少なく資本金も小さい法人など、消費税の納税義務が免除される方が、自分から手続きをすることで課税事業者となることができます。
課税事業者は売上げに係る消費税よりも仕入れに係る消費税の方が多い場合には、消費税の確定申告をして消費税の還付を受けることができます。免税事業者では還付を受けることができませんので、あえて自分から課税事業者を選択して、課税事業者となります。これは決められた期限がありますので、遅れずに手続きをすることが重要です。

Amazon輸出(アマゾン)やeBay(イーベイ)などを始めて輸出免税が適用される個人や法人が消費税の還付を受けようとする場合も、この手続きをします

「消費税課税事業者選択届出書」という書類を、適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(適用を受けようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)に、所轄の税務署に提出します。
「消費税課税期間特例選択・変更届出書」という書類を同時に提出する場合もあります。ただし、還付を目的として自分から選択して課税事業者になった場合には、さまざまな制限が発生するためそれに伴う先々のリスクも考慮に入れておく必要がありますのでご注意ください。